ラクサス

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――――few years ago.(Laxus)


「んだとてめぇコラ!」

「やんのかクソ炎!氷漬けにするぞ!?」

「お前ら!いい加減にしないか!」


妖精の尻尾の子供組が、毎度のことながらも被害を巻き散らしながらケンカをする。

椅子やら怒鳴り声やらが飛び交うギルドの一角に、ヘッドフォンを付けたラクサスがいた。


「…………うるせぇ」


飛んできたグラスを叩き落とし、おもむろに立ち上がる。

仕事の予定もないラクサスは、喧嘩が悪化して乱闘になりかけているギルドをあとにした。


ラクサスは今年で15歳となり、実力もかなりついてきた。

そろそろS級を目指そうと考え始めたりもしている頃。

フィオーレ最強と言われる妖精の尻尾の中でもさらに強者の証であるS級魔導士の称号は、
強さを求めるラクサスに欠かせないいものであった。

しかしS級試験では、歴戦の魔導士が立ちはだかる。

そうそう簡単にいくものでもないことは、ラクサスも十分承知していた。

普通にクエストをこなしているだけでは、力がつくのが遅すぎる。

そう考えたラクサスは、連日一人で修行に明け暮れていた。


マグノリア郊外の森の、開かれた場所。

そこに一人で立つラクサスは、目を閉じて己の魔力に神経を傾けていた。

ラクサスの周りに、小さな雷が連続的に弾ける。

徐に手を前に出すと、雷槍が現れた。

それは徐々に光を増し、辺り一面を照らしていく。

ラクサスは、無差別に放電され、かろうじて槍の形を保つそれを見ると、持つ手に力を込めた。

それと同時に放たれる雷のひとつひとつに集中する。

やがて幾筋もの雷は一方向に整えられ、完全に槍になった。


力の方向が統一されれば、ひとつの技の威力は格段に上がる。

が、そのためには完全に雷をコントロールすることが必要とされる。

まだ今は制御しきるまでに時間がかかりすぎ、とても実戦で使えるような代物ではない。

一瞬でこれを造り出せるようにしたいがなかなかうまくいかない。

ラクサスは、苛立ちのままに出来上がった雷槍を森の放った。







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