love and sin
□XII 心の傷
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エンヴィーに嫌われたくない。
だから話すのが怖い。
それでも、彼になら話してもいい気がした。
「……あのね、私、いじめられていたの。
といっても表立っていじめられてた訳じゃないわ。
寧ろ表では、皆して私のことを綺麗だ、可愛いだと褒めまくっていて……。
でも所詮、それは人間の表の顔なの。
あ、男子と一部の女子は本心で言ってくれていたわ。
だけれど、それが余計に女子の嫉妬心に火をつけたのよね……。
裏では女子が私の悪口を言いたい放題。
自分の彼氏を色目を使った私に取られたとか…、そんなことしていないのに。
中には皆のいる所で、私に足を引っ掛けて転かして、大丈夫?って心配そうな顔をして聞いてくるの。
他の人が見ている前ではね…。
そんなことが一年くらい続いたわ。」
駄目だ。
思い出すのが怖い………。
「グルーム、言いたくなかったら言わなくてもいいんだよ。」
そう言って、エンヴィーは抱きしめてくれる。
だけど、心配してくれているから最後まで話したい。
彼はホムンクルスの中で一番えげつないと言われているけれど、決して冷たい訳ではないと思う。
現に、こうやって話しを聞いてくれているし心配してくれている。
私には、ホムンクルスより、
人間の心の方がずっと怖い………。