love and sin

□ IV 「憂鬱」
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「着いたよ。
みんなこの中にいるはずだから。」



エンヴィーに連れて来られたのは大きな扉の前。
中に入ると、パイプがたくさん繋がれた椅子に座った男の人に声をかけられる。



「待っていたよ、おいで。」





怖い、
逆らってはいけない、
本能的にそう思った。

恐らく彼がお父様だろう。

だけど、かけられたら声はなんだか優しくて、私はお父様の側まで歩いていく。





「この子が新しい妹のグルーム、“憂鬱”だ。」



紹介されて見渡すと、エンヴィーの他に、綺麗な女の人と男の人が4人いた。
それぞれ、ラスト、グラトニー、グリード、スロウス、プライドというらしい。




「能力としては物質に内部から干渉できるはずだ。まぁ口で言うより、使ってみたら分かるだろう。それと、当分のうちはエンヴィーに仕事を教えてもらえ。」


「はい、お父様。」

「はぁー、やっぱり僕か。
別にいいけど、このエンヴィーが教えてあげるんだから邪魔しないでよね。」





溜め息をつきたいのはこっちだ。
エンヴィーはいつも一言多いと思う。
じとーっと見つめていると目があう。




「何、文句あるの?」

「別にないよ。ちょっと心配だなぁーって思っただけでww」

「ふーん、そう。」




お互いに黒い笑みを浮かべながらの会話は、端から見れば異常だろう。
それでも、本人たちには敵意など全くなく、寧ろこの会話を楽しんでいる。
ここ数日の2人の会話は、いつもこんな感じだった。





「あなた、相当エンヴィーに気に入られてるわね。これからよろしくね、グルーム。女は2人だけだし、分からないことがあったら遠慮なく聞いてちょうだい。」

「はい。ありがとうございます、ラストさん。」

「あら、別に呼び捨てでいいのよ。」

「そうそう。オバハンのことなんか呼び捨てでいいんだよー。」

「え、でも………。」

「いいのよ。
それに敬語もはずしなさい。
私も妹ができたことが嬉しいの。
それとエンヴィー、煩いわよ。」



なんだか彼女は優しくて、本当の姉みたいで、私は少し安心した。



「はいっ、じゃなかった、
うん、これからよろしくねラスト!」

「ふふっ、ええ。」








*****



他の兄たちとも話し終えたところで、エンヴィーが私の部屋へと案内してくれるらしい。




「ここがあんたの部屋だよ。
それと、隣は僕の部屋だから煩くしないでよね。」


通されたのは黒が基準の部屋で、
クローゼットを開けると黒い服が数着並んでいる。


「分かった。ありがとう、エンヴィー!」


「明日は色々と案内してあげるから、寝坊しないでね。」



それだけ言うとエンヴィーは部屋から出て行った。
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