love and sin
□V 能力と恐怖
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昨日早く寝たからだろうか、
目が覚めたのは早朝だった。
「グルームー、起きてる?」
「うん、入っていいよ。」
今日はエンヴィーに案内をしてもらうから、寝坊するなと言われていたけれど、まさかこんなに早いとは思わなかった。
「ねぇ、それにしても早くない?」
「うん。だって、寝てるところ脅かそうと思ってたし。
もう起きてるとかつまんないんだけど。」
「やっぱりね。 …………性格悪っ(ボソッ」
「うん?何か言った?」ニコニコ
「いいえ、何も言ってないわ。」ニコニコ
エンヴィーは地獄耳らしい。
これからは気をつけよう。
*****
そんなこんなで案内してもらっていると、食堂にラストとグラトニーがいた。
「あっ!ラスト、何してるのー?」
そう言ってラストに抱きつく。
ラストは本当のお姉さんみたいで、
彼女といると甘えたくなってしまう。
「グルームじゃない。どうかしたの?」
「今エンヴィーに屋敷の中を案内してもらってるんだけど、そしたらラストたちに会ったの。」
「あら、エンヴィーも居たのね。」
「煩いよオバハン。」
自分からラストに話しかけたものの、エンヴィーとラストが仲よさげに話をするのを見て、私は何故か少しの苛つきと似た悲しみ感じた。
「グルーム、エンヴィーに何か嫌なことされてない?
エンヴィーはホムンクルスの中でも一番えげつないから、何かあったらすぐ相談しなさいね。」
「うん、分かってる。」
さっきの感情は何かの間違いなのだろうか、やっぱりラストのことは頼りになる。
しばらくラストに抱きついたままでいると、急にエンヴィーに抱きかかえられて、ラストから引き離された。
「ちょっと何するのエンヴィー!?」
「ほら、今日は外も案内してあげるんだから、オバハンなんかに引っ付いている暇なんて無いの。」
「だからって抱きかかえる必要は無いでしょ。」
「あんたはちっさくて歩幅も狭いんだから、歩くの遅いでしょ?
だから僕が連れていってあげる、てだけだけど。」
「ええーっ、早く歩くから降ろしてよ!
ちょっ………
ラストにお土産買ってくるから、後で部屋に遊びに行くねー!」」
「ええ、行ってらっしゃい。」
「エンヴィーったら、女にまで嫉妬しちゃって、ふふっ。」
2人が去った食堂では、ラストがグラトニーの料理を再開するのであった。