love and sin

□VI ココロ
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初めて外に出た翌日から、グルームはずっと悩み、部屋に一人籠もり続けていた。








はぁ……………、

前の世界で生きていたときは血とかのグロいの、全然駄目だったのになぁ………………。






この前はキレて無意識のうちに人を殺してしまった。

気がついた時には返り血を浴びていて、血だまりの中に立ち尽くしていたのに、罪悪感というものを一切感じなかったのだ。





最初に手を出した相手が悪い。
人間のくせに生意気だ。





感じたのはそれだけ。

我に返ったとき、こんなにも簡単に人を殺めてしまえる自分が怖くなった。



それまでは、人間と違うホムンクルスになれたことにただ喜びを感じていただけで、何も分かっていなかった。


心のどこかで、自分は人間だ、と思っていたから生まれ変わったことに喜びを感じていたのだ。
ところが、自分がもう人間ではないのだ、と思い知らされて辛くなった。


なんて勝手なんだろうと自分でも思う。






ホムンクルスだからしょうがない。





そう言い切ってしまえたらどんなに楽か。


だけど、そう言ってしまえば最後、何か大切な心を無くしてしまうような気がして怖い。

実際に罪悪感を感じなかった時点で、人間としてはもうとっくに手遅れなんだろう。

それでも、よく言葉にはできないが、今感じているこの気持ちは忘れてはいけないのだと思う。







前は此処まで鬱々と悩むことなんて無かったのに………。
これも自分に込められた罪 『憂鬱』のせいなのだろうか。

そう思うと人間を蔑むと同時に羨ましくも思い、自分はホムンクルスとして生きていくことを憂鬱になった。
    
     
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