love and sin
□VII 仕事
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それから暫くして、今日はエンヴィーに仕事を教えてもらうことになった。
ここに来るまでに、このエンヴィーが教えてあげるんだから足を引っ張るな、と何度言われたことか………。
彼曰く、今回の仕事は人間を数人殺すだけ、の簡単なものらしい。
(数人って…………、軽く10人はいると思うんですけど。)
それで現在、私たちはその対象の人間たちのいる研究所らしき建物の屋根の上で様子を窺っているのだ。
「ねぇエンヴィー、どうしてこの人たちを殺すの?」
「ああ、そっか。グルームにはまだ仕事の目的まできちんと話してなかったね。」
彼の話を簡単に纏めると、私たちの主な仕事は「約束の日」までに血の紋を刻むことで、最終的にアメストリス全土を使って錬成陣を作るらしい。
前の世界に錬金術なんてものがなく、この世界に来て初めて、それに触れた私には何となくにしか理解できなかったけれど。
とにかく、何人もの人の魂が必要だということは分かった。
……………人間が可哀想?
そんなの、お父様の目的のためなら仕方ない。
可哀想なのかも知れないが、あの日、既に人を殺してしまった私には、そもそもそんなこと思う資格なんて無い。
そして「約束の日」というのはまだまだ先の事らしく、当分大きな仕事は無いそうだ。
因みに、彼らは150年以上も昔、つまりこの国ができたときから、その目的のために動いているらしい。
「それで、ここの研究所の奴らさぁ、最近僕たち人造人間のこと嗅ぎ回ってるみたいなんだよね。
まぁ、言っちゃうと邪魔ってわけ。」
本当困っちゃう、とエンヴィーが笑う。
「役に立ちそうな奴ならこっち側に引き入れるのもアリなんだけど、ここの奴らはその価値も無さそうだからね。」
時間は刻々と過ぎていく。
狙うのは12時、電気を消して彼らが帰ろうとするところを狙う。