love and sin
□VII 仕事
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建物の前に、黒い陰が2つ降り立った。
今日は変身をせず、そのまま格好だ。
どうせ死ぬんだから問題ないじゃん、ということらしい。
コンコン……
「はい、何でしょっ… ザシュッ
「ヒッ、ひいっ…ば、化け物っ!!」
エンヴィーは始めに殺した男の頭を持ちながら言う。
「ヒドいなぁ、あんたらが僕たちのことを嗅ぎ回るのが悪いんだよ。」
バキュンッ……
私もエンヴィーも撃たれた所かは赤く光って治っていく。
「お、お前たちっ人造人間なのかっ…!?」
「正解。調べてたのに、すぐには分からなかった?」
クスクス笑いながら、さも楽しそうに殺していくエンヴィーに続いて、私も確実に手をかけていく。
「あ、グルーム〜片付け大変だからあんまり散らかさないでねー。」
「OK、分かってるわ。」
「あ、悪趣味な醜いゲテモノめっっ!」
「………あぁ”?」
あ、ヤバい。
直感的にそう思ったときにはもう遅かった。
エンヴィーはみるみるうちに巨大な姿となり、建物でさえももうあとどれくらい保つか分からない。
ガコンガコンッ、
ガシャンッッ
(ちょっと!私まで殺す気なの!?)
*****
終わったときには人も建物も、もはや原形をとどめていなかった。
「ふぅー………、久々に暴れてスッキリしたー。」
最近体がなまってたんだよね、という彼は、さっきまでの怒りようは何だったのかというほど清々しそうだ。
だけど今は
そ、れ、よ、り、も、
「ねぇ、エンヴィー。片付けが大変だから散らけるなって、最初の方に言ってたのはあなたよね?
これ、どうするつもり?」
この間、ぐちゃぐちゃにするのが好き、と言っていた通りの状況になってしまっている。
「……………あ。」
「………まさか、自分で言ったこと忘れてたの?馬鹿じゃない?」
「……え、そ、そんなことないよ。
ちょっとやり過ぎちゃっただけで…………。
ちょっ、そんなに怒らないでよ……。」
しどろもどろになって慌てるエンヴィーが面白くて、思わず噴き出してしまう。
「あはははは。別に怒ってないよ。
それで、本当にどうするのこれ。」
「うーん………、あ、燃やしちゃおっか。本当は研究資料とか回収しようと思ってたんだけど、大したこと分かってなさそうだったし。」
めいあ〜ん♪なんて声が聞こえてきそうなエンヴィーの後に続く。
初めての仕事は、彼が最初に言ったよう簡単に幕を閉じたのだった。
彼女ハ堕チタ
太陽の下で笑っていたのはとっくの昔のことのよう。
今ではもう、闇夜の住人へと身を堕としていた………。