love and sin
□VIII 名は体を表す
2ページ/3ページ
*****
私とエンヴィーはここの所仕事がないため、これといって特に何もすることなく、ただ2人でごろごろとしていた。
会話といっても、
「ねぇ、グリードっていつになったら帰ってくるのかなぁ?別に帰ってこなくてもいいけれど。」
「さぁ?いつか帰ってくるんじゃない?あんなオッサン帰ってこなくていいけどね。
あ、グルームーあそこに置いてある紙とってー。」
「えー、エンヴィーって嫉妬でしょ?なに怠惰になってるの。」
という具合で、人間を殺している2人を見たことがある者なら、きっと目を疑うだろう緩さだった。
そんな所にラストがやって来る。
「はぁ、あんたたちは暇そうでいいわね。本っ当、こっちは大変だってのに………。」
「そういえばラストの今回の仕事って、軍の男を落として情報を聞き出すことだったよね。
もしかして、その男落とせないとか?
そうなったら本当にただ怖いだけのオバハンじゃんww」
「ちょっとエンヴィー!
ラストに落とせない男なんて、いるわけないじゃない。
女の私でも惚れ惚れするくらい綺麗なのに!」
エンヴィーはあんな事を言うけれど、ラストは本当に綺麗、というか妖艶なのだ。
胸とか……、ちょっと羨ましかったりする。
「グルーム、ありがとう。
でも、当たりよ。その男が落とせないの。」
「え、何それっ!?
…………もしかして其奴、男趣味だったりするの?」
「当たらずも遠からずといったところよ。彼、少女趣味なの。所謂ロリコンね。」
「そういうこと……。」
「なぁんだ、つまんないじゃん。」
「………………あっ、そうよ!
グルームが代わりに、彼のこと落とせばいいじゃない!
どうせ暇してるんでしょ?」
「えぇっ、何で私!?
確かにラストに比べたら少女っぽいけどさ……。
結構きつめの顔してると思うし、少女にはなりきれなくない?
私が行くよりエンヴィーが変身したらいいじゃない。」
私では変身するにしてもその条件が結構面倒だから、むやみに変身してもボロが出てしまうのがオチだ。
「えー、やだ☆
なんでこのエンヴィーがロリコン男の相手しなきゃいけないのさ。
グルームがしたらいいじゃん。
黙ってニコニコしてたら、あんたも可愛い顔してんだからさ。」
咄嗟に言い返そうとしたけれど、エンヴィーから可愛いと言われて、何故だか分からないけれど一瞬反応に遅れてしまう。
普段はえげつないくせに、妙に☆が似合ってむかつく。
「そうよ。グルームは可愛いんだから。相手は清楚系が好きみたいだし、黙っていたらちょうどピッタリだと思うわ。
それに、エンヴィーが行ったら情報を仕入れる前に殺しちゃいそうだわ。」
*****
そんなやり取りがあって、私はラストの妹というそのままの設定で彼とあって情報を聞き出す仕事をしている。
勿論、清楚系を重視して、いつもとは逆の真っ白なワンピースを着て、だ。
悩みというのはその仕事のことではない。
いや、関係が無いとはハッキリ言い切れないのかも分からないのだけれど………。
ラストからの厳しい指導のおかげか、その任務はむしろ順調に進んでいて、あと長くても一週間のうちには全てを話してくれそうな状況だ。
じゃあ何を悩んでいるのかって?
それはエンヴィーの機嫌が、ここ最近とてつもなく悪い、ということだ。
特に、私がその任務に出掛ける前後が最悪なのだ。
別に私が任務に出掛けない日は、今まで通りに話してくれるのに、任務がある日は帰ってきても、ろくに話を聞いてもらえない。
むしろキレられる。
意味が分からないわ。
ラストに相談しても、含み笑いをされるだけで教えてくれない。
ただ一言、「私たち(人造人間)の名前を考えてみなさい。」
そう言われた。