love and sin
□ IX まだ教えてあげない side.E
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今日もグルームは例の男に会いに行く。
仕事とはいえ、なんか面白くない。
そのときは、必ず白っぽい服を着ていて刺青も隠れているから、ぱっと見、ただの人間の女だ。
「グルーム、今日も行くの?
その服、似合ってないよ。」
「結構よ。そんなの自分が一番分かっているわ。」
違う。
「それに、色気も全然ないしね。」
「いいの。ターゲットは少女趣味なんだから。」
違う。
そんなことを言いたいんじゃない。
勿論、いつもの黒いワンピース姿の方が似合っているけど、白っぽい格好も悪くない。
柄にもなく、天使みたいだと思ってしまった。
それに、さっきは色気がないと言ったけれど、可愛い顔をしていると思うし、充分に女らしい。
そう思うのに、口から出される言葉は真逆の言葉ばかり。
八つ当たりだとは自覚があるけど、何に対してこうも苛つくのか、自分でもよく分からない。
面白くないと思うのは、グルームがただの人間になってしまったように感じるからだろうか。
それとも別のことが原因か………。
こんな思いをするくらいなら、嫌でも自分が変身して行けば良かったかもしれない。
はぁー……、
これ以上は一人で考えても無駄か。
僕はこの行き場のない苛つきを鎮めるために、そもそもグルームがこの仕事をすることになった原因であるラストを探すことにした。