love and sin
□ IX まだ教えてあげない side.E
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ラストは案外早く見つかった。
「ねぇラスト。
グルームのあの仕事って、一体いつ終わるのさ。」
「あと2、3日もしたら終わると思うけれど、…………それがどうしたの?」
あと2、3日って、長くない!?
「なんかさぁ、よく分からないんだけどイライラするんだよね。グルームがそっちの仕事してるから、こっちのは進まないし。」
「はぁー………、あんたたちって2人とも手が掛かるわね。」
「何それ。」
「いいえ、こっちの話よ。
まぁ、今回の原因は私にもあるから教えてあげるわ。あんたそれ“嫉妬”してるんじゃない。」
…………嫉妬?
このエンヴィーが?何に?
「意味分かんないんだけど。」
「そんなの、私こそあんたじゃないんだから分からないわよ。
だけど大方、グルームが盗られたみたいで面白くないんでしょ。」
もうこれ以上は教えてあげないわ、というようにラストは去っていく。
………あぁ、そういうことか。
僕はあの軍人に嫉妬しているのか。
グルームとの時間を過ごすあの人間ごときに。
だからグルームが、あの男に会いに行くのが面白くないんだ。
そういえば、グルームが初めて兄弟に紹介されたときも、グリードがグルームに触れるのを見て、今みたいにイライラしたような気がする。
これは多分、独占欲だ。
グルームといるのは楽しい。
ずっと側に置いていきたい、と思う。
そう認めてしまうと、幾分か心が楽になった。
人間たちはこれによく似たのをを恋愛感情と呼ぶみたいだけど、僕には分からない。
だって僕らはそもそも、一つの感情しか持っていないはずだから。
だけどグルームはこのエンヴィーのものだ。
そうして僕は、グルームが帰ってくるのをスッキリとした気分で待った。