love and sin

□XIII 決意
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「ありがとう。もう、大丈夫。」



そう言って離れたグルーム。
大丈夫、と言った彼女の身体はまだ震えていて、
僕は再び彼女を腕の中に閉じ込めた。








グルームから聞いた前世での話は酷く人間くさかった。
普段なら、吐き気がする程にバカらしいと思う話。
だけど、そう思えなかったのは、グルームに関することだからだろうか……。







グルームを苦しるあの女が許せない。

グルームの思考を独占するあの女が許せない。








さて、どうやって消してやろうか………。



あの女の、絶望と恐怖に染まった最期を想像して、
思わず口角が上がる。







「グルーム、あの女に接触するのは僕がするから安心して。」



僕の腕の中で小さく頷き、ありがとうと言う彼女を、もう一度強く抱きしめる。





グルームを泣かせてもいいのは自分だけ。
グルームを抱きしめていいのも自分だけ。
自分以外の奴らは許さない。








黒い嫉妬の塊は動き始めた。
    
        
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