めいん

□あり得ないこと
1ページ/5ページ

「おい!起きてるかー!」



朝早く、聞きなれた声が響いた。


「起きてますよー!」


部屋のドアに向かい、大声を出す。


身支度をすまし、下の酒場へと急いででる。

光が反射し、目を細めてしまう。
やっぱり朝は苦手だなぁ…


酒場を覗くと、やはりお客さんが集まっていた。


「お、起きたか」


両手に何個かジョッキを持ったメリオダスさん…

ここのマスターを見て私は慌てて、両手のジョッキを持った。


「す、すみません…私が運びますっ」


仕事ですし、そう付け加える。


メリオダスさんは、朝弱いの直せよー、と言いながらカウンターの奥へ入ってしまった。 
 

一言多いんだからー…



内心、毒を吐きながらお客さんの元へジョッキを運ぶ。


みんな嬉しそうにお酒を飲んでいた。


「お、そうだ嬢ちゃん。知ってるかい」


笑いながら話をしていると、ジョッキを片手に少し顔が赤いおじさんが話しかけてきた。


「何ですか?」

「ここらで、錆びた鎧が歩き回ってるんだってよー」



鎧?聖騎士かなにか?

「なんだろう…?」



呟いたが、色んな人の話し声でかきけされてしまった。


すると、

ガジャァンとなにかがひっくり返った音が聞こえた。

そこへ首をひねり、視線を移すと


3人のお客さんが怒った顔で立ち上がり、メリオダスさんにガンを飛ばしていた。



またやったの、飽きないなぁ


私が働くこのお店、豚の帽子亭はお酒は美味しいと評判だが、料理は不味いと評判だ。


確かにあの味は私も不味いと思う。


かくゆう私も、料理は苦手だから言えないんだけどね。



きっとメリオダスさんのあの、不味い料理を食べたであろうお客さんは、今にも殴りかかりそうだ。

「メ、メリオダスさんっ」 


ちょっとヤバそうになったとき、メリオダスさんの指を鳴らす音がやけに響いた。


「たく、しょーがねぇな……」



そう呟きながら出てきたのは、外見こそ可愛いが、少々お口が悪い豚さんのホークちゃんがてできた。


床に散らばった残飯を、文句を言いながら食べていく。


何分かして、きれいになった床をみて、私は1つため息をこぼした。


「どうしたんだ。ニコル」


「わぁぁぁっ!!」


ぐりん、と首をまたまたひねると、さっきまでカウンターにいたメリオダスさんが真後ろにたっていた。


「お、驚かせないでくださいよっ!」


この人は心臓に悪い。いつも思う。


「疲れたんなら、休んでいいぞ?」


顔を覗きこみながら言うメリオダスさん。

なにかと心配してくれるのは、優しいところで私はそんなとこが好きだったりする。


でも…

「さりげなくスカートに手をかけないでください。」


変態なところは、どうかと思います。




ドンッとこれまた、大きな音をたててドアが開かれた。



そこにいたのは、ひどく焦った顔のお客さんだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ