2015年<リクエスト作品>

□ Seventeen
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これは、俺たちがシンガポールへ行った時のお話

ケント先生の知り合いの現地の方の招待で、シンガポールの学園へと行くことになった
期間は春休みの10日間
目的は海外のダンス大会に出る事
俺達の今の実力を試すチャンスだ




「みんな、パスポートと航空券は持ってるか?」

「はーい!持ってまーす!!」


先生の車の中、パクのテンションがMAXだ


「パク、今からテンション上げ過ぎると、10日間持たないぞ」

「大丈夫ですよ。さ、早く出発しましょう!」

「ホント・・・パク、落ち着けって」

「落ち着いてますよ!!アキラ先輩っ!」

「・・・声がおっきいよ、ぱっ君・・・」

「もごっ・・・・・・」


タツキ先輩がパクの口の中に、お菓子を詰め込んだ
そのやり取りを、泉が冷ややかな視線で見つめ、口を開く


「先生、もう行きましょう」

「じゃあ、行くぞ」




そして俺たちは約8時間のフライトの後、無事にシンガポールへ降り立った
現地は−1時間の時差で、夕方になっていた
雨が上がったばかりなのか、湿った空気が熱い風に乗って、身体にまとわりついて来る
俺達はそこから急いで冷房の効いた車に乗り込み、ホテルへと向かった

5つ星ホテルのその建物は、雑誌で見るよりも遥かに高く、変わった建物だった
ロビーで先生がチェックインを済ませ、俺たちの泊まる階数までエレベーターで上がる
止まった先は35階を指していた


「とりあえず荷物置いて、何だかんだして・・・30分後にここに集合だ。OK?」

「OKです」


そう言いながら先生はカギを取り出した


「パクとタツキがこれ。泉とアキラがこれ。じゃあ、また後で」


トランクを引っ張り、各自部屋を目指す
ドアノブの上にカードをかざす
電子ロックが解除され、カギが開く
俺達は扉が開いて、その先にある部屋の窓からの光景にくぎ付けになった

正面左には夕日が沈みかけた海、右はビルや街並みがネオンを纏い、バイオレットな空にカラフルに輝いている


「うわぁ・・・スゲーな・・・な、泉」

「そうですね・・・綺麗です」


そう呟いた泉の横顔は、この街の何とも言えないオリエンタルな色に妖艶に浮かび上がる
俺の視線を感じ、目だけが俺を捉えた
その視線が、俺を居ても立ってもいられなくさせる

俺は泉の首筋に手を這わせ、顔を近づけた
泉の吐息を感じる距離
もう少しで、その柔らかい唇に触れられる

そう思ったのに、俺たちの唇の間には泉の人差し指が挟まっていた


「何でだよ・・・」

「アキラ、俺たちは遊びに来たんじゃないんですよ?」

「でも、この景色綺麗じゃん。しかも泉だって・・・こんなに綺麗なのに・・・・・・」

「綺麗じゃないです。それにしたって・・・・・・」

「泉・・・・・・」


俺が駄々をこねた顔で泉を呼ぶ
片腕で撫でていた首に、両手を回し、泉を捕まえる
その顔を見て、泉が目を伏せ笑う


「10日間、毎日襲って来ないで下さいよ」

「それは・・・保障しかねる」


俺は泉の首に回した手をグイッと引き寄せ、そっと唇を重ねた
軽く済ませるつもりだった
でも一度触れてしまうと、なかなかそうはいかない
柔かく温かいその感触に、俺の理性は脆くなる


「ん・・・んんっ!アキっ・・・」

「も・・・ちょっと・・・」

「ぁ・・・っん・・・ん」


何処までも奥に入り込み、絡め取って一つになりたい
逃げる泉の舌を執拗に弄ってしまう
泉の身体も後ずさりをし始め、窓ガラスに背中を付け、崩れ落ちそうになる


「先輩!!時間ですよ!!!」


突然のパクの声に驚いた泉の動きが伝わる
それでもまだ泉を手放す気がない俺は、まだ泉の舌を強く吸いついていた


「んん!んっ・・・んんっ!!」

「あ・・・分ったよ・・・」


俺は仕方なく離れ、泉を見る
濡れた赤い唇に、零れた俺たちの唾液
潤んだ瞳で俺を睨んでいた
俺は親指で口の端を拭ってやる


「そんな顔でみんなの前に出るなよ」

「・・・・・・どんな顔ですか」

「エロイ顔・・・」

「し、してません!!」


慌てて顔を横向け、視線を外す
横を向いた顎のラインを指でなぞる


「アキラ!!もう・・・」


多分少し頬が上気している
そうさせたのも俺なんだけど


「俺、顔洗ってきます。パクには上手く言っておいてくださいね」

「分かった分かった。先に行けって言っとくから」


恥じらって怒る姿ですら色気を感じてしまう







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