2015年<リクエスト作品>

□Cherry Magic
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いつもよりざわついた教室
目の前のプリント
それに自分の名前を書き込み、問題を解く

程なくプリントは全部埋まり、それを裏返して窓の外を眺めた

暖かい教室
なんとなく怠い身体

最近少し忙しくて無理をしたからだろうか
体調があまり優れない
腕を組んで目を閉じた


今はこのざわついた教室が心地よい
一瞬だけ意識が飛びかけた


この授業で最後だから・・・
このプリントを集めて欲しいと、公民の先生に頼まれていたんだ

それにしても、少しうるさいかな
隣のクラスの授業に差し障るかも・・・・・・
でも、どうせ自習の時間だ
このくらいはいつも賑やかだろう

そんな事を考えていると、チャイムが鳴った

俺は小さくため息を吐き、立ち上がる
後ろからプリントを前に回し、回収した
全部回収し終わるとそれを揃え、教室を後にする


廊下を歩きながら、窓の外に視線を向ける
丁度中庭に差し掛かり、何本か植えられた桜の木が見えた

今にも咲き出しそうなくらい、蕾が膨らんで赤い
去年も綺麗に咲いていた
きっと今年も綺麗に咲くだろう

そんな事を考えながら廊下を歩いていたので、曲がり角から急に現れた人に気付くのが遅れ、互いにぶつかってしまった


「っ!・・・」

「おぉっ・・・と・・・」


よろけた俺を、ぶつかってしまった相手が腕を掴んで支えてくれた
が、おかげで手にしたプリントをばら撒いてしまった


「あっ・・・アキラ?」

「悪ィ・・・・・・大丈夫か?」


アキラが慌ててしゃがみ、プリントを拾い始める
俺も続いてしゃがみ、上下を揃えて拾い出す
全部が揃い、一纏めにして立ち上がろうとした


「・・・・・・っ」


目の前が暗くなり、身体から力が抜けた
立ちくらみだ
俺はとっさに壁に手を伸ばそうとすると、その手をアキラがサッと掴んだ


「おい!大丈夫か?」

「・・・はい、大丈夫です」


すぐに感覚が戻り、アキラの手を振り払おうとする
その腕を強く握られた


「大丈夫って・・・・・・お前、熱あるんじゃねーの?」

「・・・え、大丈夫ですから・・・」

「具合悪いんだろ?」


アキラの手が俺の頬と首に触れる
少し冷たく感じた


「ほら、やっぱな。熱あるって」

「そんな事より、アキラはどうしてここにいるんですか?自習だからってサボってたんですね?」

「今そんな事言ってる場合じゃねーだろ?保健室・・・いや、もう授業終わりだから、寮に戻るか・・・・・・」

「いえ、本当に大丈夫ですから」

「俺、このプリント置いて来るから、泉は教室に戻ってろって。寮に一緒に帰るから」


俺の言葉も聞かず、プリントを持ち消えていく
いつからそんなに面倒見が良くなったものか
俺はアキラの言葉を受け入れ、教室へと戻った





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