2015年<リクエスト作品>

□bilanc
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「あー・・・・・・腹減った!時間だしそろそろ帰ろーぜ」

「アキラ、片付けてからにして下さいね」

「・・・・・・分かってるよ」

「僕、これ返してこようか?」

「タツキ先輩はそこに座っててください。仕事が増えますから。パク、先生を呼んできてください」

「分かりました。じゃ、行ってきます」



相変わらず泉に仕切られ、俺たちは帰りの支度を始めた
パクが立ち上がりドアノブに手を掛け扉を引いた瞬間、同時に扉の向こう側から誰かが入って来た


「うわぁっ!・・・ビックリした」

「おぉ・・・スマンスマン」


そこには両手が塞がった先生の姿
その荷物を重そうに机の上へと運び入れる


「先生・・・これって・・・」

「そうそう、コーヒー豆!」

「いやいや、そうそうじゃないじゃん」


先生が机に置いた袋の中身を皆が覗き込む
そして皆が顔を見合わせた


「え・・・だから・・・何?」

「まださぁ色々あるから見てもらいたいんだけど」

「話が見えませんが・・・・・・」

「半年先なんだけどさ、学園内にカフェを開こうと思ってるんだ。だからさ、どの豆でどんな味にしようかとか・・・」

「・・・バリスタの方に選んでいただいたら如何ですか?」

「それじゃあクロノス学園の味にならないじゃないか!だからさ・・・協力してよ」


さすが先生
いつもとんでもないことを言い出す


「それってクロノスだけのオリジナルなコーヒーが出来るって事ですよね?凄いじゃないですか!」

「パク・・・簡単に言うなよ」


とびきりの笑顔で言うパクに俺は半ば諦めたかおで言い返す
だってもう既に『やらない』と言う選択肢は消されているのだから


「部室の隣の部屋に必要なものは運び入れといて貰ってるから」

「楽しそうですね。でもこれ以上仕事を増やさないで下さいね」

「どうしよう・・・僕コーヒー苦手なのに」

「タツキはね、調合したものとかをノートにつけていってもらえるかな?」

「うん!分かりました先生!」

「可愛い〜な〜、タツキは」


タツキ先輩にじゃれ付く先生を横目に俺は隣の部屋を覗きに行った
そこはもう教室とは言えない
まるで喫茶店の様だった


「なにこれ・・・スゲー・・・・・・」

「わぁ・・・いい匂い」


横からひょっこりとパクが顔を出す
新しいことや変わったことが大好きなパク
俺はそのパクの鼻を指で摘まみ弾いた


「なんですか!アキラ先輩!!」

「パクが楽しそうでなによりだよ」

「だってアキラ先輩と一緒にいられる時間が増えるじゃないですか!」


俺はそんな可愛いことを言うパクの頬にキスをした


「ああー!!またぱっくんとアキラ君がイチャついてるー!」

「・・・・・・」





タツキ先輩の大声と泉の冷たい視線にもめげず、俺はもう一度パクの頬にキスをした









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