2015年<リクエスト作品>

□bilanc
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せっかく俺がパクとチューしてるのに・・・


泉が俺達を半ば突き倒す勢いで教室へと押し込め、扉を閉めた


「何すんだよ、泉ィ!!」

「それはこちらのセリフです。他の生徒に見られたらどうするんですか?時と場所を選んでくださいよ、全く・・・」

「あ、泉・・・羨ましいんだろ?」

「・・・・・・何がですか?」

「羨ましかったら泉もしてみれば?」


ジロリと威圧的に睨まれる
そんな威圧に負けるものか
俺は素早く舌を出し、あっかんベーをしながらパクの後ろに隠れた

そんな俺を追って泉がパクの前に立つ
そしてパクの頬に顔を近づけて・・・・・・


「・・・・・・チュッ」


俺はその音に、パクの背中から視線を上げ泉を見た
パクの肩越しから俺を見下ろし、鼻で笑われる


「お、おい!!泉お前今パクに・・・・・・」


がバッと立ち上がり、泉に掴みかかろうとした時、教室の扉が開いた


「煩いなー!アキラ!またお前か?」

「先生!!違っ・・・泉が俺のパクにっ・・・」

「アキラ先輩!!何言い出すんですかっ!!」


パクが慌てた様に俺の口を塞いだ
勝手にキスさせた癖に生意気な・・・


「お前もなにキスさせてんだよっ!!」

「してませんよ!」

「そうだろ!!してねー・・・・・・え?・・・してねーの?」

「はい。してないんです」

「してたじゃん。さっき」

「奏先輩がキスの振りしただけです」

「・・・チュッて・・・」

「それ・・・リップ音だったんです・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


安心したと同時に込み上げる怒り
また俺は泉にしてやられた訳だ


「泉・・・テメェ憶えてろよ!」

「俺は何もしてませんが」

「どの口が言ってんだよ!!」

「はいはいはい。取りあえずこっちに集まって。先生が説明するから」


先生は呆れた顔で俺達を呼んだ
腑に落ちないまま俺もみんなと一緒に集まる
一通りの説明を聞き、早速やってみる事になった


先生が総指揮をとり、タツキ先輩が記録係
俺とパクと泉がブレンドをしてテイスティングをする
あっという間に校内が香ばしい香りに包まれた

黙々と作業をする泉
どうやら今飲んでいるコーヒーは気に入らなかった様だ
俺も目の前のコーヒーカップを手に取る
ちょっとずつしか口に含まないとは言っても、既に3杯分くらいは飲んだ気分だ


「・・・・・・ふぅ」

「・・・アキラ先輩?」

「ん?」

「どうしました?大丈夫ですか?」

「え・・・・・・何が?」


心配そうに顔を覗くパクの視線にあえて合わせず、中でコップを洗うタツキ先輩を見つめる


「・・・・・・アキラ先輩」

「何だよ!大丈夫だから!」



それでもパクの視線が俺に刺さる


心配かけたくねーけど・・・・・・



俺だって言いたくないことだってある










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