コンユss
□体温のない視線
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彼がおれの名前をよぶ。
おれはいつも通り、それに応えるように彼を抱きしめて言葉には出さずに彼をねだる。
ほんとうは、求めているのは彼のほう。
優越感。
みんなこんなに余裕のない彼の顔を見たことはないだろう。
なぁ、今まで何人の人を抱いた?
本当は人なんて好きになったことないくせに。おれだけなんだろ?
そう思うと、今まで彼が抱いてきた人たちがスクラップ人形のように積み重なっている様が頭をよぎって、思わず喉の奥で小さくわらった。
さよならお人形さんたち。おれなんかよりずっと綺麗な顔をしてるのに可哀想。
弱くて脆くて熱いおれたちを、どうかそのガラス球の目で見ていて。
ねぇ、いまおれ、幸せだよ。