ゴーストフェイス
□いびつなクリスマス
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キラキラ光る銀色のナイフが服を裂きその下の柔らかな肉を抉るのを、フリージアはマスク越しに胸を高鳴らせながら見つめていた
後ろから奇声を発しながら凶器を振り上げて迫り来る獲物が酷く煩わしく、素早く横にずれ奴の腹に深々とナイフを押し込んだ。
呻き声を上げて倒れふす前に引き抜く
最後のあがきに、奴は私の足にズボン越しに噛みついてきた
「…」無言でとどめを刺す
ごふり、と息を奴は吐いて動かなくなった。
「終わりだ」
声をかけられ振り向く
彼の白いマスクは所々に赤い液体がついていた
ナイフを自身の手袋で拭いながら、彼は言う
「すべて片付いた」
「えっ!?もう終わりですか!まだ私師範の残虐かつ惚れ惚れする殺戮シーン見足りません!!」
「…よそ見するなっていってるだろ」
「はい!だから私、師範しかみてな」
「そーゆー意味じゃなくて…」
「?」
「殺しとなると相手も生き延びるのに必死だ。どんな手を使ってくるかわからねーから油断すんなってこと」
歩いてきた師範はおもむろにしゃがみこみズボンの裾をたくしあげた
相当力を込めたのだろうかちょっとした裂傷になっている
「じゃねーと痛い目にあうぞ」
こんな風にと言いながら傷に直に触れられ痛みが走る
「いっ!」
「わかったか?」
「わかった!わかった!」
ならいいとあっさり手を離した師範は待ってろと言って立ち上がり、部屋中の引き出しを開け 探し物をしだした
数分たち、こちらに歩いてくる
血まみれの部屋に、彼は違和感無く溶け込んでいるが、その手には救急箱があった
「師範、逃げなくていいの?」
師範は転がっていた椅子を引き寄せ、座れと促してくる
言葉に甘えながら腰を掛けると再びしゃがみこんだ
「お前がこんなだったら逃げるに逃げれないだろ」