ゴーストフェイス

□風邪っぴき
1ページ/3ページ

くしゃみをして、フリージアが悪寒に体を震わせると同時に体温計が鳴った。
「37.9℃…」
ケースに戻しながら回想する。
昨日、雪合戦だなんだと走り回っていたから体が冷えてしまったのだろうか…

確かに師範と別れた後、せっかくだからと、かまくらや等身大の雪だるまを作ることに専念していて再度降り始めた雪にも気付かずに作業を続け、よしできた!と完成させた頃には手足の感覚がなくなり頭やら肩に雪が積もっていた。

「自業自得だなあ…」
しみじみと呟きながら、フリージアは布団を引き寄せ身を縮める。
さむい。とにかくさむい…
暖まれ暖まれと呪文のようにブツブツ繰り返していた時だった。

扉が乱暴に叩かれる
布団に潜り込んだまま思考を巡らした。
「?」
たしか皆は今日もいつものようにパーティーに出掛けたはずだ
看病出来なくてごめんねと手を合わせて謝り、すぐ帰るからと言う言葉を残して出ていった姿を脳裏に浮かべる。

まさか…師範?
唐突にその可能性に行き着き真っ青になったフリージアは、飛び起きて扉に体当たりをかました。

「よー。また来たぜ…って、なにしてんだ?」
「だめだめだめ!!!入ってきちゃだめですっ!!」
「はあっ!?なんだよいきなり!」
「今日は帰ってください!!」
「なんで!」
「なんででもですよ!!」

扉を引っ張りあって押し問答するが、さすがに彼も男の人。力では勝てずに扉を開けられる。

フリージアは最後の手段にとベッドを飛び越えバルコニーに続く窓を突き破る勢いで押し開けた。

冷たい風が部屋中を駆け巡り、彼女の暖かそうなネグリジェの裾をもてあそぶ。
ベッドを挟んで、ふたりは対峙した。
「出てってください」
まっすぐにゴスフェを見つめながらフリージアは言う。

「だから、なんでだよ」
理由を聞くまではぜってー出ていかねーと強気に出るゴスフェを涙目でじっとりと睨みながら、囁く
「…なんですよ」
「聞こえねー」
唇を噛み締めるとフリージアは叫んだ。
「風邪なんですよ!!」
「…誰が?」
「私がっ!!」
「だから?」
「っ!!」
熱に浮かされているのか、珍しくゴスフェに苛立っているように地団駄を踏む
「つまりこの部屋は風邪菌だらけってことになるでしょう!
そうでなくても私は人に感染させる比率が高いんですから近寄っちゃだめです!!わかったら出てってください!!」

一気に言って、フリージアはうつむいて息を整えた。
ふらつきながらもゴスフェの様子を伺おうとし、それは失敗する。
何故なら顔をあげた瞬間、フリージアは意識を失ったからだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ