ああ、天女様!

□15.嘘と殺意
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「っ!!」
『敵に背を向けるべきあらず。本気で俺を捕らえたいなら二人一遍に掛かってくるべきだな』

と、言うものの、こちらとて余裕ではない。
私の相手は豆腐先輩とサラスト先輩だ。

四年でしかもくのたまの私が、五年と六年の忍たまを相手に戦うのは容易ではない。

それに、私は腕を痛めている。
部が悪い所の問題じゃないよねー。

なのに余裕ぶらないといけないのは相手の冷静さを欠くため。

相手は冷静な二人。
ならば冷静さを失えば隙が生まれるって考えが甘かった。


「どうした!!足がフラついてるぞ」


この二人、切れた方が強い。

やっかいこの上無い。


後輩から距離を取り、尚且つ二人の攻撃を避けねばならない。


四年の私が五、六年…しかも忍たま。
明らかに負けるだろう。
でもそういう訳にはいかない。

だって…


雨音さんに一番迷惑をかけたであろう二人をせめて私の手で殴りたい。


って考えている訳だが…やはり隙がない。

どうすれば二人を…って、なんだ?
違和感がある。

竹谷先輩と中在家先輩が四人を相手に、綾部くんが四人を引き付け、私が残りを相手する。


なら、あと"二人"はどこにいる?

その瞬間、ゾクッと体が凍るように固まった。


「終わりにしようか」
「 ですね」
「離して、下さい…!」

不運大魔王先輩と爽やか先輩が刀を持って雨音さんを捕まえていた。

なぜ誰も気付かなかったのだろう。

この二人の異様な殺意に。






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