ああ、天女様!

□1.天女が舞い降りたらしい
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気持ちがいい朝とは、この事を指すのだろう。

忍術学園に来て、四年目。

くのたまの上級生になると、思ったよりもずっと残った人は少なかった。

まぁ、上級生にもなると危険な任務が増えて、習い事のつもりで来ている人達には正直キツいと思う。

太陽が晴れ晴れとした天気に、新しいくのたま一年生や忍たまの子達がそろそろ学園に慣れ始めた頃だろう。

現に、忍たまの一年生たちは、くのたまから“洗礼”を受けた。

今じゃ、忍たまの中でくのたま=恐怖と言うまでになった。

たかが、池に突き落としたり、朝顔の種で作ったお菓子を食べさせたり、特別メニューで食中毒にされたくらいで…いや、十分かな。

可哀想だが、これが忍者の世界だよ。

今日も平凡に、出来るだけ目立たぬ様に。
これが学園に来て私が最初に立てた目標。
忍者は目立っては行けない。

…時折、暴走しちゃうけど。

背伸びをした後、授業が始まる前に学費のためバラ作りの内職に手をつけ始めると、忍たまの敷地から忍者とは思えない悲鳴が聞こえてきた。

周りに居る同僚のくのたまも、悲鳴が聞こえた方に目をやり始めると次々と悲鳴を上げ始めた。

「ひ、人が落ちていってるー!?」

意味がわからない。

飛ぶ、ではなくて落ちている?
可笑しな話だ。なんて、思って外を見ると唖然とした。

『おお。女の子が落ちていってるねー』

平凡って言うのは、いつ終わるかなんて…誰にも分かりはしない。

それは、この世界に転生した私が一番に分かっていることだったのに。



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