ああ、天女様!

□2.嫉妬と先入観
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先輩には、途中で邪魔が入ったと話したらまたもや恐ろしい事を言った。

「なんなら、天女と仲良くなったフリをして信用させて殺せばいいわ」

おう、嫉妬に狂ったくの一こわー!

先輩怖すぎだよ。
でもまぁ、これも利用させて貰おう。
そういうことにしておけば、くのたまの皆が天女様に手を出すことはしばらくないだろう。

『はい、そうしますね!ついでにアホの忍たま達の目を覚まさせまーす』
「あら、よくわかってるじゃない」

先輩こわー!
でもまぁ、これでくのたまは大丈夫でしょう。

問題は忍たまの上級生たち。
うーん、あのサラストさんは完璧に私を警戒しただろうし、仲間にも伝えてるかもしれない。
けど、あの人プライド高そうだからな…伝えてないかも。

だが、一様六年生には見つからないようにしないとね。

そう思いながら、今日こそ本を返しに行かないとね!
遅れたら中在家委員長にボコられる。

図書室について、戸を開くと…あんれまぁ、ほぼ無人。

前なら何人か居たのに、寂しいもんだ。

『すみませーん、本を返しに来ましたー』
「あ、はーい…って、あ!くのたま!」
「え、うわぁ…!?」

わーお、一年生達ってば…そんなに身構えなくても無意味にボコらないって!

「きり丸、奇士丸、どうした…って、ああ…なんだ、ヒノエ先輩じゃないですか」
『久作くん、久しぶり』

図書室をよく利用する私は、図書委員の久作くんとは知り合いだ。
他にも不破先輩や中在家先輩。

図書室を利用する忍たまとは知り合いだ。

「あ、返却ですね」
『うん。ついでに何冊か借りてっていい?』
「え、あ…今は…」

久作くんの動揺っぷりを見て、図書室を見渡すと、本の整備や虫食いの書物を直している途中だった。
…可笑しい。

『久作くん、委員長と不破先輩は?』
「あ…」

口を閉ざしてしまった。
一年生達もうつ向いてしまって…まさか、あの二人も天女様の所?

うっそ…だって、中在家先輩は図書委員長で、不破先輩は真面目で優秀な忍たま。

くのたまの私にも、優しい先輩の忍たま。

下級生に任せっきりなんて、あり得なかった。

天女様の所にいる?
天女様は困ってないだろうか。
気にはなるけど、このままの忍たま達をほっておけない。

『そっか、ならしばらく此処にいるねー』
「え、ちょっ…」

手伝うなんて言ったら、久作くんは絶対に手伝わせてくれない。
だからあえて、此処にいるねって伝えた。

書物の扱いはバイトで慣れたし、本の場所も覚えてる。
虫食いの本の直しかたも昔、中在家先輩から教えてらった。

『この本読ませてー』

私も小柄な方だけど、流石に久作くんよりかは大きいから一年生が持っていた本を取ってちょっと読んだ後、戸棚の高い所に戻す。

ちょっとずつだけど、さりげなく手伝うことにした。

先輩達、この子達をほっといて天女様の所に行くなんて…確かに、天女様は優しかったけど、下級生をほったらかしにしてまで会いに行くほどなのかな?

天女様は、この事をどう思ってるんだろう。




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