ああ、天女様!

□4.余裕と本心
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不破先輩と喧嘩して家出ならぬ、部屋出をした鉢屋先輩がなぜか私の部屋で雑魚寝をしていた。
くのたま長屋に忍たまの先輩が雑魚寝とか…踏んでしまおうか。

先輩が素顔を晒すなら部屋に泊まっても何ら構わない。
だが、一番の疑問は…

『何故、綾部くんまで居るのかな?』
「お久しぶりです」

いやいや、話が噛み合ってないから。
部屋に戻ると、何故か穴堀小僧でお馴染みの綾部くんまで居た。
いや、天女様の事で会いに行こうとは思ったんだよ?

でもさー、なんで私の部屋を泥塗れの姿で寝てるかな。

「綾部、お前…蛸壺の中で寝るんじゃなかったのか?」
「面白いものを見たので来ちゃいました」

私の顔をじっと見る綾部くん。
見かける度にいつも思うけど、何を考えてるのかわからない子だな。
きっと、綾部くんの言う面白いものとは…七松先輩と私たちの事だろうなー。
まぁ、それは構わないけどさ。

なんでシナ先生はこの二人を普通にくのたま長屋に入れたの?
男子禁制のくのたま長屋に忍たまが普通に居る…くのたまの先輩が二人をみたらボコられますよ?

まあいい。利用させてもらう。

『あのですねー、お二人とも泊まるのならー…内職手伝ってくれませんかー?』

そう言って、バラ作りの内職道具を二人に渡した。

「内職って…」
「おやまぁ、これ滝夜叉丸がいつも買ってたやつだぁ」
『そうですよー。ただでは泊まらせませーん』

綾部くんはムーっとしていた…あ、そっか。
平くんと綾部くんは同室だったっけー。
鉢屋先輩は不破先輩と喧嘩してここに来たし、綾部くんも似たようなものかな。

『黙ってやるのもなんですしー、何か話しましょっかー』
「天女の消える話は?」
『雰囲気と部屋が暗くなるので却下でーす』
「「ち」」

おい。今、綾部くんと鉢屋先輩が舌打ちしたぞ。
え、やっぱり二人とも天女様消えろ側??


『二人は天女様のこと』
「「あんなヤツに様なんかいらない」」

うわ、怖い形相ですねー。

『よっぽど嫌いなんですねー』
「当たり前だ。アイツが来てから雷蔵も八左ヱ門…兵助や勘右衛門まで…口を開けば「天女様」って…皆おかしくなった!」
「滝夜叉丸は相変わらずウザいけど…「天女様が落ちるから、穴を掘るな」って。…前は蛸壺って言ってたのに」
『なるほどー』

ガキか。
心小さいなー。
大好きな仲間が天女様にメロメロで自分に構ってくれない。
今までちゃんと言ってたのに、酷いことを言われた。

結局、自分が可愛いんじゃないですか。
まぁ、私も人のことは言えませんけど。

『そーですかー。大変でしたねー。あ、そう言えば今日久々にボーロ食べたんですよー!』
「…お前、自分から話を振ったのに結構マイペースだな」
『よく言われますー』

まぁ、二人の事は様子見かな。



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