ああ、天女様!
□9.正解と迷い
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はいはい、前回は…作法委員会説得に失敗してしまいました。
今回は成功せねばと思っていたのですが…はい。
「天女様に付きまとっているくのたまは…お前だな」
帰りの際、ギンギン先輩に捕まりました。
私、見つかりすぎ?これって、くのたまとして失格だよねー。
さーて、どうするか。
この先輩は、学園一ギンギンに忍者しているって異名を持つ六年生。
怪力で体力オバケの暴君先輩よりかは幾分、マシだとは思うけれど…出来れば会いたくはなかった。
だって、この人は…前に私の借りたかった本六冊を返却しなかった不届き者だ!!
返却忘れるなら六冊も借りていくな!
それに、まだわんこに噛まれた腕の傷は全然完治していない。
相手がいくら鍛練を怠けていたって、女であるくのたまの私が片腕が全く使えない状態で勝てるはずがない…確実に不利な状況だな。
えーっと、前にここを通ったときは…
「答えろ」
そう言って、無言のままだった私の首にクナイを当ててくる。
おう、首が冷たい。
どう答えるべきか…ギンギン先輩は、サラスト先輩と違って上手く手を引いてはくれないだろう。
相手がひねくれていたり嫌味な奴なら、数回話を聞けば回避する方法が簡単にわかるけど…真っ直ぐ突進型の熱血の特徴は、第一に話が通じない。
まぁ、見た目で判断するのも何だから、一様試してみるかなー。
『侵害だなー。付きまとっているじゃなくて、世間話をしているだけですよー』
ニッコリ笑って言ってみるが、予想通り…隈のあるお顔に青筋を立てていてご立腹。
なんだよ。
くのたまは天女様と話すなってか?
天女様は誰のものでもないのに。
「ふざけてるのか?」
『私は、本気ですよ。なんなら、私と天女様がお話ししているところでも見ま…っ…』
言い掛けたところで、腹を殴られた。
おう、強烈…容赦ないなー。
両膝を着いて蹲る私を、嘲笑うように…先輩は私の髪をつかんで、見下した目で見てきた。
『女の子に容赦ないですねー』
「くのたまが、調子に乗るな」
前は「くのたま」じゃなくて「忍としてなっとらん!!」って怒ってたじゃないですかー。
先輩のそう言う平等なところ、いいなーって思ってたのに残念です。
アナタのそんな顔、見たくなかった。
…てか…反撃できないからって、腹を殴ったりしなくても…って、そんな悠長なこと、言ってられ無いかな…。
そう思っているが、今のところ腹が痛くてうまい考えが考え付かない。
サンドバック確定かなー。
でもまぁ、下級生にこんな場面見られなくて良かった。
みたら“皆”泣いちゃう。
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