ああ、天女様!

□10.作戦と錯誤
1ページ/5ページ


「先輩、これ…前に天女さんが、計算しているときに書いていたのと同じです!」

“なんで?”

自分と天女様との接点を考えると、頭が割れそうなほど痛くなるのを感じた。
痛い痛いっ!!

瞬きをする度に、知らない光景が目の前映り込む様な感じがして気持ちが悪い。

そこは、学園や町でもなくて…石で出来ている様な地面に、煩くて人が乗ってるカラクリの音、そして…動けない私の側に誰かがいる。

いつも見るあやふやで幻影の様な夢よりも、見えた知らないはずの光景は何故か強い現実味がある。
自分の血の気が引いていく感覚と、得体の知れない恐怖心が脳裏に焼き付いて思わず怯えそうになる。

先程まで平気だったはずなのに、今は口の中の酸素が足りない。

ガタガタと歯が動き始めてしまい、私は落ち着くように息を吸い込む。

すると少しずつ息が整って、震えが止まった。

どうやら今は「前世」の事を深く考えない方がいいらしい。

そして、団蔵くんから紙を取って『天女様が教えてくれたんだー』と、笑ってごまかす。

ひどい頭痛を顔に出さないように、紙をグシャグシャにして破り捨てた。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ