ああ、天女様!

□13.余談と暇潰し
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頭の中がぼんやりする。

煩いエンジン音。
人の話し声。
息苦しい空気。

これも夢?

………あれ?“エンジン”って、何?

そう思って、重い瞼を開く。

すると、目の前がいきなり光り出して眩しい。

でも、これだけはわかった。

目の前に誰か居る。

「……ちゃん……!」

またこの子だ。

そう思った瞬間、体に激痛が走った。

身体中の骨が軋んで、砕けて、顔に生暖かい赤黒い液体がかかる。

毎晩毎回、この夢を繰り返し見てる…正直、現実味がない。

でも今回は違う。
あの頭が割れそうなほど、痛くなった頭痛のせいだ。


今目の前で起こってる全てが、凄く気持ち悪くて怖い。


そしてまた、誰かが私の頬に触れる。
そんな私の目は開いてる。
けど視界が真っ赤で、相手の顔がわかんない。


「死なないで…助かるからッ…お願いだから…まだ一緒に居たいよ…!!」


またあの子が叫んでる。

おでこに水滴が溢れてきて、この状況がわかった。

ねぇ、なんでキミはいつも泣いてるの?

声を掛けようとしても、声が全く出ない。
全ての器官が動かない。

ああ、また見てるだけか。

でも、なんでかな?

全身が痛いし、動かないし、息苦しいし、けど…



凄く安心してる。




目の前から真っ赤な背景が消えていって、全てが真っ暗に変わる。


…………なんか、いい匂いがするねー。
お腹すくよー。



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