ああ、天女様!

□15.嘘と殺意
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「なんだ、これは…!?」


ほらほら、先輩達。
貴方達が放ったらかした下級生達が大変な事になっていますよ?

部屋は散らかり、悲鳴は聞こえ、心が痛みますよねー。
もちろん、全部嘘ですけど。

芝居とは言え、やっぱり下級生達を縄で縛るのは気が引けるなー。

本調子ではないが、声色を低く変えて先輩達に問いかける。

『なんだ、忍術学園と言っても対したこと無いな』
「貴様…何者だ!」
『見てわからんか?曲者だ』

下級生達が「先輩ー!!」って叫ぶ。
うん、皆上手だ。

えーっと、ギンギン先輩とプリンス先輩、爽やか先輩…四年生は焦ってる反応あり。

鉢屋先輩と不和先輩、不運先輩は戸惑ってる。

サラスト先輩と暴君先輩、豆腐先輩は好戦的にこちらを睨んでくる。

ふむ…武器は…なるほど、中距離が多め…接近戦は…私の体格的に部が悪い。
警戒すべき睨んでくる長距離戦型の二人、こちらは接近戦に持ち込むべきだな。
…………近距離が得意な七松先輩は後回し。

と、矢羽音で中在家先輩、竹谷先輩、綾部くんに伝え合う。
それと…良かった、鉢屋先輩は曲者が私だと気付いてないみたい。

「何が目的だ」

サラスト先輩が睨みながら訪ねてくる。
バッカだよねー、そう易々と曲者が目的を言うわけないでしょ?
少しは考えて話し掛けて下さいよ。
自分は浅はかですって、教えているようなものなんですから。

『わからんのか?…ふっ…プロに近いと言っても、所詮は子供だな』

少し小馬鹿にした演技をすると、まんまと引っ掛かってくれた。

怒車の術だぁ〜いせいこ〜。
あ、綾部くんごめん。怒んないでよ、ね?

矢羽音を終えると同時に、音は無に近くなる。

そりゃそうさ。

両方とも殺る気なんだから、お互いの音を完全に消す。簡単な話さ。
本気でやらないとこっちが殺られる

中在家先輩が中距離型だから遠距離の相手を、竹谷先輩も中距離だからそれに加勢。
元々、戦い専門じゃない綾部くんは、事前に罠を仕掛けておいた場所に残りの人々を引き付ける。

まぁ、これで果然と私の相手は分かりきっていた。

「お前が私らの相手か」
『お手柔らかに』

さぁ、恋の盲目病共との戦いだ。




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