ああ、天女様!
□プロローグ
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次に目が覚めた時には私は赤ん坊で…気が付いたら齢五つの子供だった。
さして裕福な家庭では無かったが、父は母と私を愛し、また母は父と私を愛してくれた。
でも、ずっと私の中のに引っ掛かりがあった。
この二人は、今の私の父と母であって、父と母ではない。
私はこの二人からは生まれたのだろうけど「前世の死に様」と言う記憶が、頭から離れない。
死して尚、なぜ生きているのか、それだけが私の中の好奇心を掻き立ていて、周りに居る普通の子供では読まないような本ばかりを読んでいた。
親からは「不思議な子」として見られ、周りからは「つまんないやつ」として見られ始めた六つの頃。
ある日、何時ものように縁側で本を読んでると父と知らないおじさんと話していた。
次の日、近隣で起きていた戦乱になぜか父が赴く事になった。
嫌な寒気が首筋をすり抜けていく感じで、とてつもなく嫌な予感を予想した。
止めたのだが「すぐ戻る」と言い残し、九つになった今でも父が戻ることは一度もなかった。
真面目な母は家庭のために働き続け、家のものを売り払い、家計をやりくりしながら貯金を貯めていたが、とうとう母は過労死してしまった。
残ったのは母がやりくりして作った銭と、父が買ってくれた書物、そして…母が亡くなる前に貰った遺書の手紙だけだった。
古くなった手紙を開くと、墨ではない血で書かれた歪な文章の紙に父の名前が書かれていた。
“私は忍者になりきれないようだ。”
そこには、チラほらと涙後があって母も読んだことが明白になった。
そして、母が何故こんなにも貯金をしていたのか、自然と理解した。
手紙を読むと、ある決断をする。
『父様、母様…育ててくれた恩…ヒノエは、強いくの一になります』
プロローグ終了