ああ、天女様!
□7.知らずにいて
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「保留の理由はわかりました…なら、どうやって先輩達を元に戻す気ですか」
『それを、キミ達と考えるんだよ』
そう言って、茂みに小石を投げると「キャー」と声と共に小さな忍たま達が転がった。
まだまだ甘いなぁ。
『盗み聞きはバレ無いようにやるもんだよー』
ニッコリ笑って言うと、素直に返事が返ってくる。
うんうん!君たちはまだそれでいい…それでいい?
何が、いいの?
「あの、ヒノエ先輩!」
『ん?何かな、乱太郎くん』
「伊作先輩は…元に、戻りますか?」
…………ああ、わかってしまった。
乱太郎くん、私ね、わかったよ。
先生達が動かないわけを。
この事はまだ言ってはダメだ。
この子達のためにも、学園の為にも。
中在家先輩は気付いたのだろうか?
相談すべきか?
五年や六年生がいつ聞いているかわからない。
…くのたまの先輩は絶対にダメだ。
この事を知ったら「不要」と言って誰にも悟られないように天女様を殺す。
それでは意味がない。
頭をフル回転させながら、答えた。
『きっとね』
“ねぇ…なんで、キミ達は待ってるだけなの?”
キミらの心から、思念と概念は消えたの?
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