ぶっく
□追いかけて
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晢がモテるのはしょうがないことだ。
野球部の主将で、4番で、何より男から見ても男らしいから。
現役中はともかく、夏の大会が終わったあとも呼び出しが絶えなかった。
…しょうがない、しょうがないと言っておきながら、晢との時間を割かれるのは嫌なわけで。
しかも相手はちゃんと異性なのだ。
いつか晢の目の前にすんごい可愛い女の子が現れて、取られてしまうかもしれない。
俺はそれが怖いし、嫉妬する。
女になりたい訳じゃない、女だったら晢と一緒にここまで野球は出来なかったわけだし。
ただもう少しだけ俺が魅力的だったらなあとは思う。
男から見ても、惚れるくらいにはイケメンであれば良いのに、と。
そうすればみんなは晢じゃなくて俺を見るかもしれない。
…こんな事を考えているのは、晢がさっき女の子に呼び出されていたから。
表情を変えずに出て行く晢を見て、小慣れてるなぁなんて思った。
あれから少し経つが、戻ってくる様子はない、またしつこくお願いでもされているのだろうか。
前にあったのは、「1日だけデートして」とか「今だけ抱きしめて」とか。
これが少女漫画であったなら、少しは同情するのだろうか。
これが晢に向けられた言葉であれば虫酸が走る。
なんて嫉妬深い男なんだろうか、女々しい限りだ。
勿論この事を晢に言ったことはない。
軽蔑されるだろうし、恥ずかしい。
…迎えに行こうか、と席を立つ。
「純…」
「わ、晢！」
それと同時に晢は教室に入ってきた。
「遅かったな」と言うと困ったような表情をする。
「純…いいか？」
「…ん」
何が良いのかと聞く前に腕を広げる。
何が言いたいかなんて、聞かなくても分かるのだ。
ふぅ、とため息をつきながら抱きしめてくる。
腕を背中に回して、それに答える。
「帰ろうぜ」
「ああ…」
こいつのことは俺だけが知っていれば良い、そして俺から離れられなくなって仕舞えば良い。
…これは流石に重いだろうか。
*****
お互い様
そのコロコロ変わる表情は俺には無いものだ
俺だけに見せる表情は誰にも見せたくない、取られたくない
みおさまリクエストありがとうございました！
嫉妬…？って感じですね、申し訳ないです。。。
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