迷いの森
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((あ…やば))
ふと、気付く。
感覚のない手を不思議に思いながら、少しだけ上げ、開く。
顔を向け、視線を向ける。
((焦点合ってねー…))
見えてはいるが、見ていない。
一つ、何かがズレている。
正常に、戻せない。
辺りをゆっくり見回すと、見覚えのある場所だと気付く。
だが、疑問がいくつか…。
いつから此処にいた?
何故此処にいる?
此処で、たった先刻まで、何を見ていた?
((酒飲んだ覚えは…ねーな))
声を出そうと口を開け、顔の筋肉が強張っている事に気付く。
ため息一つ。
暖かくなったから白い吐息は見えないけれど、見える時期であればそこにあるだろう場所を見つめる。
見つめてはいるけど、見ていない。
『あ゛ー…
これはやべーなー』
やっとの思いで出した声は、予想通り掠れていて。
あんま心配かけたくないんだけどな…と、声を出さず口の動きだけで語る。
ササッ。
印を組んで、約束を実行する。
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