短編夢小説 @

□ワガママvs.キス
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楽しい時間はあっという間に過ぎた。今日は真島さんと二回目のデートだった。表参道ヒルズで買物したり、銀座の寿司屋へ行ったりと、私は嬉しさに胸をときめかせていた。
私のマンションに着いたのは、十時だった。車を駐車場に止めた真島さんは、私を玄関まで送ってくれるという。二人で肩を並べてマンションの入り口へと続く細い通路を歩く。夜空を見上げると、春の星がぼんやりと輝いていた。私は、真島さんの手をぎゅっと握りしめた。

「どないしたんや、美香ちゃん?」
真島さんは長身の体をかがめて私の顔を覗き込む。
「帰りたくない……」
私はぽつりと呟いた。真島さんは、顎に右手を当てながら考えた。
「せやなぁ。俺も美香ちゃんを帰したくないんや」
その途端、真島さんの顔がぐっと迫ったかと思うと、私の唇は塞がれた。春の肌寒い夜、私は少しも寒くなかった。

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