短編夢小説 @

□時には甘える兄さんも
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「そろそろ真島さん、帰ってくるかな……?」
私は時計を見た。十時を過ぎていた。
真島さんから電話があったのは夕方だった。幹部会が長引くらししい。
私は、真島さんが大好きなコロッケを揚げながら、帰りを待っていた。

ガチャ。
玄関の扉が開く音が聞こえた。
「真島さ〜ん?」
コロッケから手が離せない私は、キッチンから声を張り上げた。
だけど、いつもの 「美香、帰ったで〜」 という真島さんの元気な声が聞こえない。
「あれっ?」
ガスの火を止めて玄関へ行こうとすると、「ハァ……」と大きなため息をつきながら、スーツ姿の真島さんが現れた。

「今日は、えらい疲れたで……」
そう言った真島さんは、後ろから私の腰に手を回してきた。背中全体に真島さんのぬくもりを感じる。
真島さんの頬が私の頬に触れた。かぁと身体が熱くなって、心拍数が一気に上がる。

腰に回された真島さんの腕にぎゅっと力が込められた。
「ちょっと……ちょっとだけ……このままでええか?」
「うん……」
私はコクリと頷いた。

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