日常〜少年時代〜
□風邪
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「ん……」
激しい頭痛で目が覚めた。
一体何時間寝ていたのか、あなたりは暗かった。
体を起こして明かりをつけようにも体に力が入らない。
心なしか息苦しさもあった。
なんとか立ち上がり暗闇の中で電気のスイッチを探すも、眩暈もあってか見つけられない。
体は寒いのに何故か汗が流れる。
肩で息をしながら歩こうとすると、大きく体が揺れた。
「!」
そのまま何か固いものに頭をぶつける。
(…痛った……)
倒れ込んだままぶつけた辺りを触ると濡れた感触。
まずいと思いながらも体が重くて立ち上がることができない。
(…カカシ君帰ってきちゃう)
そう思いながらも意識が遠のいて行った。
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「…はぁ…結構遅くなったな」
カカシは任務の疲れが残る体で家へと向かう。
そのときふとコンビニのアイスのポスターが目に入った。
‘暑いだけ!’
今朝のアヤトの言葉を思い出す。
なにやら顔が赤くないか、と尋ねたときに返ってきた言葉。
(…留守番ばっかさせてるし、たまにアイスでも買っていくか)
真ん中から二つに割るような形をしたソーダ味のアイス。
溶けないうちにと急ぎ足で帰宅した。
「……?」
家を見て違和感を感じた。
(…なんで電気付けてないんだ?)
カカシ宅だけが真っ暗だった。
「!」
まさかと思い急いでドアを開ける。
「アヤト!」
返事がない。
すぐに明かりをつけると、寝室で倒れているアヤトを見つけた。
「おい!」
急いで抱き起こすと額からは出血。
顔は赤く、抱いている腕から伝わる体温も異常なほど高かった。
ぜえぜえと息苦しそうなアヤトをおんぶし、急いで木ノ葉病院へと向かう。
「…やっぱり無理してたのか…!」
カカシは背中で苦しそうに眠るアヤトを見遣る。
(くそ、オレが甘かった…コイツが素直に言うわけもなかったのに)
アヤトは何かに怯えるように常に周りの顔色を伺っていた。
そのせいかなかなか自分から助けを求めない。
生い立ちを考えれば当然な気もするが…
「…もう少しだ、頑張れ……」
カカシは後悔の念を押し込め走るスピードを早めた。