日常〜少年時代〜
□風邪
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「…………」
カカシは点滴に繋がれ眠るアヤトの寝顔をそっと見つめていた。
細い腕に刺さる針が痛々しくてなんとも言えない気持ちになる。
‘かなり辛かったと思いますよ’
アヤトを診てくれた看護師に言われた言葉。
原因は疲れ、緊張、ストレスだと言われた。
あの事件から半年弱。
いくら表情が豊かになり会話が増えたからと言って、決して無理をしていない、という訳ではないことはわかっていたつもりだった。
「……ごめんな…」
もっと話をするべきだった。
そばにいるべきだったという想いが込み上げる。
「……う……んぅ…」
そのときアヤトが小さく身動ぎした。
そのままゆっくりと目を開ける。
「目が覚めたか」
カカシが声をかけるとその目がゆっくりとカカシを捉える。
「……カカシくん?」
まだぼうっとしていて状況を掴めていないようなアヤト。
「ああ、ここは病院だよ。体は大丈夫か?」
「……あ……ごめんなさい、オレ…」
アヤトはハッとしたように言うと俯いた。
「謝るのはオレの方だ。悪いな、気づいてやれなくて…」
その言葉にアヤトは申し訳なさそうにカカシを見ると、ぶんぶんとクビを横に振った。
「アヤト」
「…?」
「これからは隠し事はなしだ。オレもお前も、辛かったら辛い、痛かったら痛い。ちゃんと言いあっこしよう」
「…………」
驚いたようなアヤトの頭をカカシがぽん、と撫でる。
「な?…遠慮はなしだ」
カカシがにっこりと微笑みかけると、アヤトも嬉しそうに頷いた。