暗部〜main〜
□現在
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どんどんどんっ
ドアを乱暴に叩く音がした。
カカシは読みかけのイチャイチャパラダイスから目を離し、げんなりして時計を見た。
午前 一時三二分
(はぁ、こんな時間に何考えてんの。こいつは‥)
カカシは昔の経験や気配から、このドアを叩いている奴が誰なのか容易に想像できた。
どんどんどん。
「カカシくん!オレ!早く開けて」
まだ声変わりしきれていない幼さの残る声が聞こえた。
大体、カカシのことをくん付けで呼ぶやつなんて、一人しかいなかった。
「ったく」
カカシは重い腰を上げ、心底不機嫌な顔をしてドアを開けた。そこにはカカシより背の低い少年が立っていた。細身で顔立ちは整っており、茶色の短髪に淡い水色の瞳がよく似合っていた。少しへらへらしているが、噂では女子から人気を集めているようだった。
「お前ねぇ、いま何時だと思ってんの」
「ごめんごめん」
「はぁ‥で、なんの用だ、アヤト」
「んーいや、なんつーかね‥」
アヤトは口ごもってしまった。
「なんなのよ、一体」
カカシがもう一度尋ねると、アヤトは手を胸の前でパチンと合わせて、お願い!のポーズをした。
「今日泊めて!」
「はぁ?何が嬉しくてお前と寝なきゃならんのよ」
「まぁそう言わないでさぁ‥昔は泊めてくれたじゃん、ね?」
「ね?じゃないよ。俺の貴重な癒しの時間を‥‥」
「おじゃまします!」
アヤトはカカシの意見を無視して上がりこみ、勝手に押入れを開けて来客用の布団を敷きだした。
「はぁ‥」
カカシは観念した。
(今日はナルトとサスケがいつも以上に揉めて疲れてるってのに‥)