暗部〜main〜
□現在〜混乱〜
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どんどんどんっ
午前 一時三二分
カカシの家にアヤトが訪ねてきた。
「泊めて!」
そう言ってカカシの制止も聞かずに上がり込むアヤト。
他愛のない会話をしてからカカシが聞く。
「‥で、何でまた急にうちに来たの?」
「ん〜‥」
何も聞いていない様子のアヤト。
「おーい‥聞いてんのか」
(こいつの場合、何かあるなら無理にでも話させなきゃ何も言わないからな‥)
「ただ久しぶりにカカシくんちに泊まりたいなって思っただけだよ。最近は会う機会もあんまなかったから」
カカシが第七班の担当上忍になってから、暗部の所属であるアヤトと会う機会は確かに減っていた。
「カカシ君が演習場にいるって聞いたから、様子見に行ってもさー。ナルトが『カカシせんせーよりすごい術教えてくれってばよ!!』とか言い出して離してくんねーし‥」
「ハハ‥」
カカシは苦笑いしながらその光景を思い出していた。
以前サスケがアヤトについて尋ねてきたとき、カカシは
「あいつは立花アヤトっていってな、お前らよりも三つしか歳は違わないが俺ぐらい強い奴だよ」
と言ってしまったのだ。
それを聞いていたナルトはアヤトを見るたびに修行だの新術だの、追い回していた。
それからも何かとくだらない話が続いた。
「あ、用事あるんだった。ごめん、やっぱ泊まりはナシで!」
アヤトが後頭部を掻きながら苦笑いして言った。
「お前ホントにいい加減だな‥」
カカシが呆れながら時計を見ると、すでに午前二時三四分を指していた。
「こんな時間に用事ねぇ‥」
(任務でもあるのか‥)
暗部の任務は全てが極秘だ。
口外できないのも仕方ないと思い、それ以上は何も聞かなかった。
アヤトは布団も食べていたポテチも散らかしたまま玄関に走って行った。
「じゃーね、カカシくん」
「お前ねぇ‥少しは片付けるとかないわけ?」
「ごめんごめん」
「まーいいから、早く行け。用があるんだろ」
カカシは片付けながら言った。
「‥‥うん、じゃあね‥‥」
「?」
いつもと感じの違うアヤトの声にカカシが振り向いたが、そこにはもうアヤトの姿はなかった。