日常〜少年時代〜
□風邪
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(…頭…いたい……)
朝目覚めた時の最初の感想だった。
台所からは美味しそうな香りが漂うが、とても食べる気にはなれなかった。
「メシできたぞー」
ぼうっと天井を眺めていると、ドアを開けながらカカシが言った。
「……うん…」
体調不良を悟られないよう努めて返事をし体を起こす。
「いただきます」
アヤトとカカシ、二人で手を合わせ朝食をとる。
「今日は任務で遅くなるから先に寝ててくれ」
カカシが言った。
アヤトはまだアカデミーに通うことができる年齢ではなかったため、カカシが任務に出ている時はひとりきりとなる。
「…うん。頑張ってね、程々に」
アヤトが目玉焼きを食べながら言うとカカシが怪訝そうにアヤトを見つめる。
「具合悪いのか?」
「え!…そんなことないよ」
「そーか?…なんか顔赤くないか?」
「暑いだけ!」
「…………ならいいけど…お前も無理するなよ」
「うん」
アヤトが精一杯微笑んで頷くと、カカシは時計を見て慌てたように立ち上がった。
「まずい、また遅刻だ…!じゃあな、アヤト。留守番頼んだぞ」
カカシはアヤトの頭を軽く撫でると急ぎ足で玄関へ向かった。
その背中が完全に見えなくなってから、ふぅっと大きく息を吐き出した。
そのまま布団に横になる。
「…くらくら……する…風邪かな…」
自分の額を触るが自分ではよくわからない。
(カカシ君が帰ってくるまでに治さなきゃ…)
そんなことを考えているうちに、眠りに落ちていた。