短編
□a blind girl
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いつも貴方はその動きづらい身体で迎えに来る。
『テツくん、お疲れ様』
影の薄い僕なのに、目の見えない彼女はすぐに気づく。
「危ないって言ったじゃないですか。必要なときは呼んでくれれば行きますから、一人で外に出るのやめてください」
何度目かわからないこのセリフを発しても、彼女はにこにこしているだけ。
火「黒子ー、なんか先輩が機嫌良くてどっか飯連れてってくれるってよー…って誰だそいつ」
黒「火神くん…ちょっとは空気読んでください」
『…貴方が火神くん?』
好奇心が旺盛な空良は、距離感も掴めないままに身を乗り出した。
黒「危ないですって」
『いつもテツくんがお世話になってます』
黒「はいはい、帰りましょう」
『えー、マジバのシェイク飲みたいなあ…』
黒「わかりました」
『いちごシェイクね!』
屈んだ僕の背中に被さって、おんぶのままマジバに向う。
……部活終わりでちょっと辛いですけど、弱音なんて吐けません。
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