闇に舞う桜

□悪夢
1ページ/2ページ



季節は桜の蕾が付き始める頃。

外は土砂降りの雨だった。

俺たちは窓の外を眺めていた。

「静かだな」

「...沖田くん今日も起きないね」

「俺さっき咳してるの聞いた」

「...そっか」

安定はそう言い静かに目を閉じた。


数年前、後に池田屋事件と呼ばれる事件の途中に血を吐き、命からがら帰ってきたのだった。

それが全ての始まりだった。

それからというもの、総司の体は着々と蝕まれていった。

回復する様子は一切なく、今では寝たきりの状態だ。

刀など握れるはずもなかった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ