闇に舞う桜
□悪夢
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季節は桜の蕾が付き始める頃。
外は土砂降りの雨だった。
俺たちは窓の外を眺めていた。
「静かだな」
「...沖田くん今日も起きないね」
「俺さっき咳してるの聞いた」
「...そっか」
安定はそう言い静かに目を閉じた。
数年前、後に池田屋事件と呼ばれる事件の途中に血を吐き、命からがら帰ってきたのだった。
それが全ての始まりだった。
それからというもの、総司の体は着々と蝕まれていった。
回復する様子は一切なく、今では寝たきりの状態だ。
刀など握れるはずもなかった。