自転車BOOK
□昼の新開さん
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朝からだるい1限目が終わって、
日なたがちょうど気持ちよくあたり、寝てしまう2,3限目も終わって、
ようやくお腹がすく4限目が終われば、やっとお楽しみの時間がやってくる。
まず、4限目終了のチャイムが鳴ったら、
俺が違うクラスまでニコニコしながら行って、靖友って呼ぶんだ。
そしたら、ぐちぐち言いながらもメロンパンを持ってこっちへ向かってくる靖友がいる。
こっからは俺の幸せな時間。
くだらない話をして、部活の話をして、
うさ吉の話もして、たまには授業の話もして────
あ、もちろん昼飯を食べることも幸せだよ?
でも、隣にいるのが靖友だって思うと、
すげぇ幸せ。
この気持ちが靖友に対しての好意だっていうことにも俺自身気付いてる。
1年の頃は俺が話しかける一方だったけど、
2年の時、俺が事故を起こしてからパッタリと靖友のところに行かなくなったら、
靖友のほうから俺んとこに来てくれたなぁ。
黙って横に座って一緒に昼飯食ってくれたなぁ。
もうそれからは一緒に食べるのが当たり前、みたいな感じになってさ、
当たり前、か。
そんな当たり前なことに俺は毎日幸せを感じてるんだなぁ。
俺って幸せ者。
キーンコーンカーンコーン
そんなこと思ってたら授業おわっちまった。
さぁ、準備だ、準備。
ガラッ。
おっ、この荒々しいドアの開け方は。
「おい、ダメ4番。飯食いに行くぞ。」
「今日はなんかはやいな、靖友。チャイム鳴ったとこだぞ?」
「ッセ!…今日は早くおめぇと食いたい気分になったんだヨ。」
「………実は俺も。」
俺はおめさんのこと考えてたから一緒に食いたくなった、とかいえねぇなぁ…
靖友も俺とおんなじこと考えてたらなぁ…
実は俺と靖友がおんなじことを考えてたってわかるのは、もう数十分先の話で、
そして
違う大学に行っても、暇がある日にまた靖友の家に昼飯を食べに行くっつー事実も
まだ先の話。