自転車BOOK

□雨の日の大掃除
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雨の降る日




放課後、いつも運動場から聞こえるはずのハキハキした声が雨の音に変わっている今日一日。


そう、外で運動を行う部活動の生徒は体育館の隅で筋トレ、


もしくはその日は活動しない、ということがまれにある。


その中でこの箱根学園、自転車競技部の出された決断は──




「今日は大掃除を行う」


「うむ、そのほうが良いな!」


自転車競技部主将──福富寿一と自転車競技部副将──東堂尽八が部室に仁王立ちで話している。


その二人の言葉にある者は喜び、ある者はにがそうな顔をしてぶつぶつと言っていたり部室が少し騒がしくなる。


「そうだな、俺も今日はその方がいいと思うぜ」


「めんどくせぇけどォ……この床みて反対するやつはいねぇだろ…」


直線鬼と呼ばれている自転車競技部3年──新開隼人と野獣と呼ばれている自転車競技部3年──荒北靖友が部室の床を見る。


それにつられ、ほかの部員も床を見始める。


その床にはテーピングの残骸や、いつ洗ったかわからないジャージ、満タンになっているゴミ箱が目に見えて部室に寝っ転がっていた。


そのゴミだらけの床やロッカーを見終えた部員は、福富と東堂の意見に反対することが到底できず、しぶしぶ大掃除に賛成した。


「まずは各自ロッカーの整理から行う!」
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