自転車BOOK

□愛する二人
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「靖友」


「なに」


「二人でこうやっていると俺、楽しいんだよね」


「そうか、座ってるだけだろ」


「同じ学校に同じ部屋、同じ空間にいることだけでも喜ばしいことだと思うんだよな」


「ふーん、そんなもんかね」


「ねぇ、靖友」


「今度はなに」


「俺、靖友のこと好きだよ」


「ありがと」


「靖友の好きな食べ物も好きな歌も好きな人も手に入れるから


靖友の嫌いなことも嫌いな夢も嫌いな人も殺してあげるから


俺の気持ち、受け入れて」


「それは頼もしいな


受け止められる限り受け止めるよ」


「だめ


全部受け入れてくれよな」


「女みてぇなこというのな


俺もお前も女じゃないのによ」


「…」


「…」


「ねぇねぇ、靖友


セックスしよ


受け止めてくれるんだろ」


「いいよ


受け止めてやる」


「ありがとう、靖友」


「うん」










靖友は受け入れようとしてくれない


俺のことをなにひとつ


口だけのイカサマ


ねぇ、はやく受け入れて


俺、もう爆発しそうだよ


靖友、はやく俺の事をみて










新開から俺への気持ちはわかってる


いや、全部はわからない


わかってしまったら俺はどうなる


愛してるのかどうなんだ


わからない


考えたくない


俺の気持ちを聞こうとも知ろうともしないアイツの言うことを聞く


今はただそれだけでいい


いいんだよ


いいんだよな




















愛を受け止めてほしい新開と

愛を知るのが怖い荒北のおはなし

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