自転車BOOK
□溺れるふたり
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ぶくぶくという水の音。
俺はいつも水の中で、もがき続けてる。
溺れてる。
俺が手を伸ばしても誰も助けに来てくれない。
あぁ、このまま死ぬのかって思ったら急に、
東堂のやつが飛び込んできて、俺の手をつかもうとする。
だけど、俺はその手を振りほどくんだ。
そん時、お前は一体どんな顔をしてる?
お前の表情はみえないまま。
わからないまま。
お前は俺をどう見てる?
あぁ、俺はお前がわからない。
わからない。
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「………ッ!!
………はぁ、またこの夢かよ…」
最近朝が来ると、俺の心臓がばくばくと音を鳴らしていることが多い。
そりゃぁ、水に溺れる夢を見ればびっくりして起きるだろ。
でも、最近そんな夢がたびたび続く。
理由はなんとなくわかる。
その証拠にアイツがこの夢にでてくるから。
「俺ってこんな女々しかったっけェ……」
今日もため息をついて、俺は部屋を出ることにした。