自転車BOOK
□東堂の願望
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「荒北」
「な、なんだ、おめぇかよ。」
「なぜそんなに驚いているのだ。」
荒北の目の前にいる男―――東堂尽八は首をかしげる。
「お前、俺のところにきて...なんかあったのか。」
「…!!荒北が俺を心配する日がやってこようとはな!明日は雷が来るのではないだろうか!」
「ッセ!ただいっっつもノックせずに入ってくるおめぇが今日はノックしてきたことに驚いただけだ!
つかいつもも今日みたいに必ず人の部屋に入るときはノックしろ!」
「なんだ、そんなことか。大丈夫だ。荒北のプライバシーは守るぞ!」
「だからノックしろって!!」
これ以上いってもギャーギャー騒ぐだけだろう、と感じた荒北はまたため息をつく。
「荒北…最近ため息が多いな。それほど勉強は忙しいのか。」
「まあネ。
ハッ、1年の時に勉強サボってたつけがまわってきたってとこだヨ。
んでなんだよ、なんか俺に用があってきたんだろ?」
東堂は荒北を心配していたのか、少しいつものうるさい(本人はスリーピングビューティーと言っているのだが)東堂はでてこなかった。
だが、本題に入るとともにその「いつもの東堂」は復活していった。
「む、そうだな!少し外に出ないか!荒北!」
「ハァ?俺勉強しなきゃいけねーの。それかチャリ乗んの?ちょうど今頃部活終わったぐらいだから暗いとおもうんだけどォ?」
「俺はその部活終わったぐらいの時間がいいんだ!
それにちょっと向こうのコンビニによるだけだからさほど時間はとらないぞ!」
「それなら新開といけばいいんじゃね?」
東堂はムズムズした気持ちがあったのか、ほら早く行くぞ!と言い、さきさきと寮の出口へと向かって歩いていく。
「…ッチ、なんかおごれよ。」
ブツブツいいながらもついていく荒北に東堂は楽しそうでもあった。