あなたに恋をしました

□戦地のおやつは200円
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「へっくしっ!」
「うわっ、ちょっと隊長、静かにしてくださいよ」
「生理現象だから仕方ないと思うんだけど…。」

海沿いの廃倉庫。
そこで攘夷浪士達の密会があるとの情報を掴み、他の隊と合同で取り押さえることとなった。
そしてさっきからずっと息を潜めて浪士たちが来るのを待っているのだけれど。

「暇だな」
「あくびしないでくださいよ…。」

花房がさっきからちょっとうるさいと他の隊士に零せば「隊長の方がうるさいです」と言われた。あれ、私肩身狭くないか。

「そろそろ時間か…。」

時計をみて、深呼吸。
刀に手をかけて臨戦態勢をとる。

「隊長」

花房も先ほどのおかんを思わせる目つきから変わり、アイコンタクトで頷く。
隊士達に体を向け、俺たちは円になった。

「…さて。
大切にすることを3つ言っておこうか。
1つ、取り逃がすな。
下手に逃げられて私らが仕事しにくくなるのは最悪の事態だ。
2つ、迷いは捨てる。
迷ったら迷ってるうちに自分の身が危うくなる。
そして最後に、…殉職は誉れって思うかもしれないけど。
死ぬなよ。しぶとく、生き残れ。
以上」

皆神妙な顔をして頷く。
奴さんもぞろぞろと入ってきた。
それぞれの配置について他の隊の連絡を待つ。

「…こんな時に聞くようなことじゃないかもしれないんですけど、」
「? 何、花房」
「隊長、桂小太郎が好きなのに攘夷浪士捕まえるって…」
「…。」
「それって、どうなんですか」

どうってなんだどうって。

「…うーん」

無線に連絡が入った。

「御用改めである!」

威勢のいい声を合図に斬り込んだ。

「桂は特別なんだよ」

その声は攘夷浪士達の叫び声でかき消された。


戦地のおやつは200円

(だから私はこうやって)

(躊躇なく、人を斬れるんだよ)
 

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