あなたに恋をしました

□回想シーンって字面じゃわかりにくい
1ページ/1ページ



私の腹から刀が抜かれ、血が流れ出す。

「花房っ…。」
「ダメですよ、咲城隊長。
そんな簡単に後ろをとられちゃ」

直後響いた爆破音。
数秒後に、雄叫びやら怒声やらが聞こえてきた。

「あいつら…!攘夷浪士…!」
「『はめられた』、そう思ったでしょう?」
「花房、お前まさか…!」

痛む腹を抑え、花房を見る。
不敵に笑って花房は言った。

「あいつらには隊長には手を出すなって言ってあります。
隊長、俺と真剣勝負してください」

淡々と、刀に手をかけながらも花房は俺から視線を逸らさない。

「花房!テメェ真選組でありながら攘夷浪士と繋がってたのかよ!」

隊員が叫んだ。その声を、興味なさそうに花房は躱す。

「繋がっていたんじゃない、利用しただけだ。
それに、そんなこと今更だろ?
隊長だってそうでしょう?」

「…ここはいいから、お前らは今すぐ攘夷浪士達を鎮圧しろ。…いや、消火優先だ。
空気の乾燥で燃え広がりが早い。
いいか、土方さんたちが来るまで持ちこたえろ、誰も死ぬンじゃねぇぞ!」
「隊長!」
「…こいつは、私が粛清する」
「「はいっ!!」」

走り去る隊員達を尻目に、花房に正面から向き合う。

「…隊員達を止めないんだな」
「俺が用があるのは隊長です」
「そうか…。いつからそんなに俺にご執心になってくれてたんだ?」
「…。」
「…花房、
局中法度第二十一条のもと、お前を粛清する」
「粛清…?あんたが?
真選組でありながら桂に心を寄せるあんたがかっ!」

花房は私に斬りかかる。
それをさばいて素早く背後に回ると、屈まれ足を払われた。
体制を崩した私の頭上めがけて花房は柄を振り上げた。
待ってましたと言わんばかりに胴を目掛けて刀で一文字に切った。
しかしかろうじてそれをかわす花房。
小さく舌打ちをしたら、下手な小細工なしに正面から斬りかかってくる。
最後はバカ正直に正面から向かってくるのは、お前の悪い癖だよ。
花房の刃をいなしながら、遠くで聞こえる爆発音に隊員達の安否が気になった。

「隙ありっ!」
「!」

肉をえぐるようにして花房の刀が肩をかすめる。
貫通された方が良かったかこりゃ。
私の足がふらついたのを、花房は見逃さなかった。
たたみ掛けるようにして、先程貫いた私の腹に容赦なく柄を打ち付ける。

「がっ…!?」

激痛が走りふらついた私を押し倒し腹に跨る。

「覚悟!」

月を背中に刀を振り上げる花房。
迫る刀
逆光で花房の表情は読めず、鈍痛で目が少し霞む。
振り下ろされる、刃は俺を貫く。
そう思ってほぼ反射的に目を閉じた。



回想シーンって字面じゃわかりにくい

(ぽたりぽたりと)

(何かが落ちた)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ