兄と弟と妹と
□手紙って中身見たくなるよね。
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只今ど偉い人の豪邸の前にいます。こちら神羅です。
いくら内密に、とは言えども流石に中には入れない程の相手のようで、門番の人に手紙を届けて仕事は終了。
あっさりとしてるなー…。
「…さて、」
父さんの預かり物も届けに行きますか。
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「しっかし暑いな…。」
傘越しに太陽を見上げる。
さんさんギラギラと照る太陽が嫌いだ。
あと暑い夏はもっと嫌いだ。
早く室内に入りたくて足を早めた。
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「いやー、わざわざ申し訳ない!」
「いえいえ、あんな親父に手紙を交わす位の相手が居て嬉しい限りです」
真選組、局長室。
存分にクーラーが効いた…とは言えないけど、外よりも随分とマシな室内に俺はいた。
親父から預かっていた手紙を手に、豪快に笑う局長…勲さんが割と好きだ。
器が大きくて、 男らしい。男が惚れる男って、こういう人なんだろうなってたまに思う。
…まぁお妙さんに対するストーカーを除けば、だけど。
「それで神羅殿はもう発たれるので?」
「いえ、久しぶりに来たコトですしゆっくり観光でもしようかと」
「それはいい!よければ案内に何人か…、」
「近藤さん、何騒いでんだ」
障子を開けて顔を出したのは土方さんだった。相変わらずのv字前髪に頬が引き攣る。あれトレードマークなんだろうか。
「! 神羅じゃねーか、いつ江戸へ?」
「つい先程」
「ちょうどよかった!トシ、お前神羅殿の案内を…」
「いや、大丈夫ですよ。
ここに見える方は皆さんお忙しいでしょうし。」
「しかし…。」
「なんだ、見たいとことかねーのか?」
「見たいというより会いに来たんだよ、妹に」
「成程。そりゃ無粋なことを言ったな」
「じゃあ失礼しますね」
立ち上がり、勲さん達に軽く会釈して部屋を出ようと荷物を手にした。
「待て神羅」
「?」
土方さんに声をかけられて、動きを止める。。
「妹ってことはあのチャイナのとこ行くんだろ?」
「そりゃまぁ」
「車。出してやるからちょっと待ってろ」
「いや、いいよそんな…」
「人の好意には甘えときゃいいんだよ、おい山崎、車出せ」
「…うす」
こんなことを言ってはあれだけど。
案内よりも、真選組の車はなおさら乗りたくない。
だってあれだろ、それってつまりパトカーだろ、白と黒のパトカーだろ?
「…悪いことした気分だ」
「あー?」
「なんでもない」
02:手紙って中身見たくなるよね。