兄と弟と妹と

□走馬灯って黒歴史も流れるのかな。
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薄暗い、年中雨が降るジメジメとした町
そこに、俺らはいた。


「神羅兄ちゃん、待ってヨ」

「神威、歩くスピード早いって」

「…2人とも遅いよ」

傘が2本。
1つには神威、もう1つには俺と神楽。
あーあ、神威がそんな顔するから。

「っ…。」

神楽、泣きそうじゃないか。

「ほら、神楽手かして」

「!」

すると顔が明るくなって、その代わり神威がもっとしかめっ面をした。

「神威も、手。」

「…。」

「神威」

控えめに出された手を優しく掴む。
俺の手を掴んでも緩むことないスピードに思わず苦笑い。

「神威、やっぱり歩くの早いって」

「うるさいな」

傘で顔は見えなかったけど、繋がれた手は、あったかかった。

「全く…母さん待ってるから、ちょっと急いで帰ろうか。
神楽、おぶってやろうか?」

「大丈夫、アル」

「そうか、えらいなぁ神楽」

――――――――――――――


「――――やめろ、神威、父さん!!!」

「パピー!!」

「やめてくれよ、なぁ…、」



―――――――――



「…神羅兄ちゃん、…兄ちゃん、でてっちゃったアル」



――――――――――――


「どこいくんだよ、父さん、ねぇ、」

「…。」

「っ、母さんは、いいのかよ!」




――――――――――


「っがはっ、

…なんだよ、これ…。」


なんで、こんな、


――――――――――――――――
――――――――




「…、」

あ、意識飛んでた。
目を覚ませばえいりあんに囲まれていることに気づいた、そうか今の走馬灯?
それにしても、

「随分と懐かしい夢を見たもんだな」

傘の下でほくそ笑む。
そして心の中で嘲笑う。

「…。」

走馬灯なんて、いいもんばっかじゃないな。
傘を閉じて、えいりあんたちに切り込んでいった。




06:走馬灯って黒歴史も流れるのかな。
 

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