兄と弟と妹と

□●神羅と沖田と
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かぶき町に来てまだ日が浅い頃。
神楽は定春、というペットの散歩をしようと言った。

「…ちょっとまて、確か前に定春一号とか飼ってなかったか」
「あの時は抱いてる時につぶしちゃったけど大丈夫ネ!」
「まぁ抱いて寝れはしないよな」

これだけ大きければ、なぁ。

「私定春一号の分までめっさ可愛がるネ」

満面の笑みで言うものだから和む。
そうかそうかと頭を撫でて和やかに過ごしてから後悔。
これだけ大きな犬の散歩が普通な訳がなかったな。

「…神楽、これが散歩なのか」
「今日の定春はご機嫌アルな!」
「いやもうこれ公道走ってるよな。」

定春くんったら公道大疾走。
ああ、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。やはりこの散歩方法は違うようだ。
呑気に定春の背中に乗る俺たち兄妹に近づく1台のパトカー。
窓が開き、栗色の髪をした少年はメガホンで言った。

『おーいそこの道路交通法ガン無視のチャイナー』
「チッ、馬鹿が来たアル」
「? 知り合いなのか」
「ただの税金泥棒アル」
「おいおいバズーカもってるぞあいつ。撃つつもりか」
『止まれって、』
「言ってんだろうが!」

声とともに放たれたバズーカ。

「いや君今初めてそれ言ったけど!?」


++++++++++++


「だからー、悪かったって言ってんじゃん」
「うるせぃ、とっとと歩け」

放たれたバズーカを傘で打ち返して、パトカーを壊してしまったため、器物破損でお縄にかけられたわけだが。

「離せヨ馬鹿!」

神楽も同罪なのかこれ。

「はい公務執行妨害で逮捕な。
これで完璧罪人でさぁ。」

あ、今捕まった。

「…いやいや、俺初っ端から前科持ちとか嫌なんだけど」
「臭い飯は嫌アル!」
「…そういやおめぇ、何者だ」
「今更か、それを今聞くか」
「私の兄ちゃんアル!
お前なんかよりすんごい強くてかっこいいネ!」
「やめて神楽すんごい嬉しいけど、今俺一応捕まってるからさ、メンツたたないから」
「兄貴ですかぃ…。
兄妹デートか、さみしい奴らでさぁ」
「むしろ妹以外に誰とデートしろと」
「…。」

目が冷たい。

「てかそろそろ昼だな、飯食いにいこーぜ」
「お前らこれから屯所ですぜ」
「冗談きついぜハンサムボーイ。
これあれだろ、遊びの一種だろ。
俺にそっちの趣味はないけど、」
「!」

手錠を壊して、片手で砕く。

「こんなもんに大人しく捕まえられるほどひ弱でもねーんだ。
ズラかるぞ神楽!」
「あいさー!」
「それハッ〇ーな」
「あっ待ちやがれ!」
「それで待ったら奇跡だわ」

それで待つなら銭形警部も苦労しないわな。


++++++++++++++


「…なんてこともあったなぁ沖田くん」
「そーでしたっけぃ」
「忘れるなよ」

これもひとつの、大事な思い出。




リクエスト:神羅と沖田と
 

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